公共建築を始めとする建設生産の特質は、工事場所、仕様、その他生産条件が現場ごとに異なることから一つとして同じものはないという特徴を持っています。
また、公共建築工事は、その目的物が使用されて初めてその品質が確認できるという性格を持ち、その品質は設計者や施工者の技術的能力に負うところが大きいという特徴があります。
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公共建築を始めとする建設生産の特質は、工事場所、仕様、その他生産条件が現場ごとに異なることから一つとして同じものはないという特徴を持っています。
また、公共建築工事は、その目的物が使用されて初めてその品質が確認できるという性格を持ち、その品質は設計者や施工者の技術的能力に負うところが大きいという特徴があります。
建設業を取り巻く状況は、平成4年度の84兆円をピークとして建設投資の急激な減少や受注競争の激化により、いわゆるダンピング受注などが生じるとともに、建設企業の疲弊、下請企業へのしわ寄せ、現場の技能労働者等の就労環境の悪化に伴う若手入職者の減少、さらには、事故や手抜き工事の発生による公共工事の品質低下への懸念が顕著となっていました。
このような状況を背景に、「公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17 年法律第18号)」(以下「品確法」という。)が、公共工事の品質確保に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めることにより、公共工事の品質確保の促進を図り、もって国民の福祉の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定され、平成17年4月1日より施行されました。
こうした状況を踏まえ、 一般社団法人公共建築協会は、品確法第7条及び第22条に基づき発注関係事務を適切に実施することができる者が育成されることを目的として、「公共建築工事品質確保技術者資格制度」(民間資格)を創設し、平成22年度より運用を開始いたしました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災に係る復興事業や防災・減災、老朽化対策、耐震化、インフラの維持管理などの担い手として、建設業の果たすべき役割はますます増大しています。 しかしながら、今後、公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成及び確保に大きな懸念が生じています。 既に地域においては、災害対応を含む地域の維持管理を担う建設業者が不足し、地域の安全・安心の維持に支障が生じるおそれがあることへの懸念が指摘されています。
また、公共工事の発注者側においても、発注関係事務に携わる職員が年々減少し、一部の発注者においては、発注関係事務を適切に実施することが難しくなっている状況も見受けられます。
これらを踏まえ、現在及び将来にわたる建設工事の適正な施工及び品質の確保と、その担い手の中長期的な育成・確保を図るため、密接に関連する「建設業法(昭和24年法律第100号)」及び「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号)」とともに、平成26年6月4日に公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第56号)が公布、施行されました。
国土交通省より令和2(2020)年9月に公表された「地方公共団体におけるピュア型CM活用ガイドライン」(※1)では、地方公共団体の発注者支援のため、「発注者側の経験や職員が不足しているといった状況が顕著な場合には、公共建築工事品質確保技術者・公共工事品質確保技術者の資格や、実務要件の設定において、公共事業における同種・類似業務の実務経験が重要になる。」と指摘されています(参照PDF ※2)。
令和元[2019]年6月7日には、「働き方改革」などの流れを受け品確法が改正されました。第21条4項では、国及び都道府県は、発注者を支援するため、「発注関係事務に関し助言その他の援助を適切に行う能力を有する者の活用の促進」に努めなければならないことが明記されています(参照PDF )。
公共建築工事品質確保技術者の役割がますます重要となる中、当協会では、公共建築工事品質確保技術者制度の運用と技術者の活用推進に、微力ながら注力してまいります。
協賛:一般財団法人建築コスト管理システム研究所
※1 このガイドラインは、国土交通省にて平成30年9月から令和2年8月まで全8回開催された、CM方式(ピュア型)の制度的枠組みに関する検討会(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000169.html)の検討結果を令和2年9月に同省が取りまとめたものです。
※2 「同ガイドライン」の当該箇所(出典:国土交通省ホームページ「CM方式(ピュア型)の制度的枠組みに関する検討会」(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000169.html)の【第8回】「地方公共団体におけるピュア型CM活用ガイドライン」表紙および、p.21~22)